統合監視ツールに関しては、「Zabbix」であればサポートが充実しているものとして有名で、「Nagios」であれば最も歴史が古い「古豪」として名高いということができますが、いずれも海外で開発された製品(OSS:オープンソースソフトウェア)です。しかし、システム運用管理ソリューションの開発には、国内企業も乗り出しています。「JP1」はその1つです。
JP1は日立製作所が開発した統合システム運用管理ソフトウェアです。その歴史は、企業のニーズに合わせたオーダーメイドのプログラムとメインフレーム(基幹システムなどに用いられる大型コンピュータシステム)の運用という常識が変わり、OSの種類にこだわらないオープン環境への対応が始まった1990年代にさかのぼります。このシステムのオープン化により、様々なメーカーのサーバーで業務運用ができるようになったのですが、同時にメインフレームでは当然のように提供されていた自動化機能が提供されなくなり、運用の負担が増大していました。これに対応しようと開発が始まったのがJP1です。
1994年にJP1はUNIX対応版としてデビュー、1995年にはWindows NT版がリリースされました。Windows版は日本初のジョブ管理製品であり、他社に先駆けてマルチプラットフォーム対応を果たした統合システム運用管理へと進展していきます。1999年には、本格的な海外事業展開も始まりました。
JP1の特徴
現在のJP1は、IT資産の管理、稼働状況の把握、定型業務の自動化、セキュリティ対策などを統合的に行うことができるソフトウェア群・サービス群から成っています。対応するシステムの規模も1台から数千台まで拡張することが可能です。
JP1は「オートメーション」「モニタリング」「コンプライアンス」の3分野でサービスを展開しており、様々なソフトウェアの中から必要なものを組み合わせてシステムを構成するようになっています。組み合わせて使用できるソフトウェア製品には以下のものがあります(クラウドサービスも提供)。
- <統合管理>
- ▶JP1/Integrated Management 2
▶JP1/TELstaff AE Professional Edition
- <ITサービス管理>
- ▶JP1/Service Support
- <IT運用自動化>
- ▶JP1/Automatic Operation
▶JP1/Navigation Platform
▶JP1/IT Process Operations
▶JP1/IT Process Operations for RPA
- <インフラストラクチャ管理>
- ▶JP1/Operations Analytics
- <パフォーマンス管理>
- ▶JP1/Performance Management
- <ネットワーク管理>
- ▶JP1/Network Node Manager i、JP1/SNMP System Observer
- <ジョブ管理>
- ▶JP1/Automatic Job Management System 3
▶JP1/Client Process Automation
▶JP1/Data Highway
▶JP1/VERITAS NetBackup
▶JP1/VERITAS Backup Exec
- <資産・配布管理>
- ▶JP1/IT Desktop Management 2
- <セキュリティ管理>
- ▶JP1/秘文
機能拡張を続けてきたJP1は、システム運用全般をカバーできるソリューションになっています。例えば監視ツールとしては、JP1/Performance Managementなどが対応しています。したがってシステム運用管理をJP1にすべて任せてしまうのも1つの方法ですが、問題になるのはコストです。システム運用全般にJP1を導入するとそれなりのコストがかかりますし、企業の規模に合わせて一部の機能のみ使いたい場合も多いでしょう。そもそも運用管理は「利益を生まない部署」と目されていることが多い、という事情もあります。また、他のツールと併用する場合もあるでしょう(ただし、複数のツールを使用する環境は、オペレーターにとって負担となりがちです)。
JP1は多岐にわたる機能から選択して構築できますが、コストと使い勝手は思案のしどころ。この問題の解決策を提供するのが、SHERPA SUITEです。
JP1とSHERPA SUITEの連携
オペレーターは、様々な監視ツールから届く異なるフォーマットのアラートメールを読み、分類し、登録するという業務を担当することがあります。限られた業務量であれば問題ないかもしれませんが、アラートの量が膨大になるとストレスも増え、ヒューマンエラーが起こる確率が高まります。