プロジェクトを進める上で問題や課題が起こるのは避けられません。
そのため、「問題を発生させない」ということはもちろんですが、最も重要なのは「問題・課題をどのように管理するか」ということです。
例えば、何か問題が起こった際に適切なコミュニケーションが取れていないと、担当者が重複してしまったり、対処に遅れてしまったりと、効率が悪くなってしまいます。
さらに、どのように対応したのか、ということが記録できていなければ、同じような問題が起こった際に解決に時間がかかってしまうこともあるでしょう。
このようなお悩みを解決するのが「課題管理ツール」です。
業務効率を上げる課題管理ツールですが、中には問題点も存在します。
この記事では、課題管理ツールの一つである「Jira software」と、そのデメリットや問題点を解決する方法として「SHERPA SUITE」との連携方法をご紹介します。
最初期のプログラミングでは、パンチカードに穴を空けることでプログラムを構成していました。
一説には、6万2500枚のカードで4.5MBというサイズだったとか。
現在では、プログラミング言語の進化に伴い、様々な開発手法、開発ツールが発表されています。
例えば、MacではXcodeという開発ツールが誰でも無料でダウンロードでき、macOSやiOSなどのアプリ開発を行うことができます(開発者登録は有料)。
また、開発手法も進化を遂げており、最近ではアジャイルという開発手法が注目されています。
アジャイルとは「素早い」「俊敏な」といった意味の英単語。
プログラムやソフトウェアの開発というと、膨大な作業に多人数で取り組み、長い期間をかけてようやくゴール!といったイメージを持つ人が多いかも知れません。
しかし、長大なコードを書き上げていざ運用というときにトラブルが生じたら、原因究明に時間がかかって販売計画に多大なダメージを与えることも考えられます。
アジャイル開発では、大きな単位でプロジェクトを進めることはありません。小単位で実装、テストを繰り返すことで開発を進めます。
つまり、「途中で設計や仕様の変更があることは当たり前」という前提に立っているのです。
大きな単位では、急な変更があったときに右往左往してしまいそうですが、アジャイル開発では変更に柔軟に対応しながら開発を進めることができ、結果として期間を短縮することが可能になります。
これは、例えばモバイルアプリの開発など、日進月歩で技術革新が進むプロジェクトに向いた手法です。
ただ、急な仕様の変更や期間の変更に対応していくには、課題の管理やスケジュール管理、チーム全体でコミュニケーションを適切に取ることが重要です。
そのために、アジャイル開発を支援する「課題管理ツール」の需要が現在高まっているのです。
今回ご紹介する「Jira Software」も課題管理ツールの1つです。
Jira Softwareの特徴
Jira Softwareはプロジェクト全体を管理するためのツールで、チーム全体のタスクや計画を共有することから始まり、タスク管理、工数管理、進捗管理、スケジュール管理などを必要に応じて組み込むことができます。
主な特徴として挙げられるのは、以下の7点です。
- 高いカスタマイズ性(アジャイル開発に向いている)
- スクラムボード(コミュニケーションを活発化する)
- カンバンボード(タスクを可視化する)
- ロードマップ(計画を共有する)
- 12種類以上のアジャイルレポート
- 課題とコードを結びつける
- Slackとの連携
Jira Softwareはカスタマイズ性が高いため、複数のチームが並行してプロジェクトを進めるアジャイル開発にも馴染みやすいという特徴があります。
チームの役割やイベント、全体の作業情報などは「スクラムボード(※1)」で可視化されます。
※1「スクラム開発」…ラグビーのようにコミュニケーションを取りながらチーム全員でプロジェクトに取り組むための手法
また、タスクはすべて「カンバンボード」で可視化され、蓄積された作業ノウハウなどにもチーム全体が簡単にアクセスできるようになります。
プロジェクトは「ロードマップ」で表示。
例えばガントチャートでスケジュールや工数を計算し、プロジェクトとの関係性を明示しておくことができます。
12種類のテンプレートがある「アジャイルレポート」には、チームのメンバー全員がアクセス可能なデータがリアルタイムに反映されます。
負担が大きい人を素早く見つけ出し、工数を適正に配分することを可能にします。
タスクは「チケット」として管理され、カンバンボードなどで活用されます。さらにSlackなど、他の情報共有ツールとの連携も可能です。
Slackには扱いやすいチャット機能があり、話し合ったことをJira Softwareの計画に素早く反映させることができます。
また、チケットには様々な情報を入力できることから、システム開発だけでなく、営業部門などでもJira Softwareは広く活用されています。
Jira Softwareの問題点
Jira Softwareはエンジニア向けの課題管理ツールの中で最も機能が充実していると言われています。
一方で、次のようなデメリットも指摘されています。
アジャイル開発向けのツールなので他の用途には向かない
Jira Softwareはアジャイル開発向けのツールになります。
エンジニア以外のタスク管理、アジャイル開発以外の使用目的には向かないことも。
日本語の書籍等が少ない
Jira Softwareを開発したアトラシアンが日本市場に本格進出したのは2013年。
書籍やネットの情報はまだ不足気味です。
障害が発生すると使えなくなる
Jira Softwareなどのアトラシアン製品はサーバ版、データセンター版、クラウド版が提供されていましたが、2024年2月にサーバ版のサポートは終了。
クラウド版に移行した場合は、大本のサーバーが落ちると使えなくなります。
障害が発生すると使えなくなるのはちょっと不安ですね。
また、Jira Softwareは様々なツールと連携を取ることができるのですが、例えばインシデント管理にも使おうとするとJira ITSMという別のソリューションが必要になります。
業務が拡大していくとソフトウェア導入のコストがかさんだり、他のツールと併用することでオペレーターの習熟に労力を割かれるかもしれません。
こういった状況に強力な解決策を提供するのが、SHERPA SUITEです。
SHERPA SUITE導入のメリット
SHERPA SUITEは検知・通知系ソリューションと管理系ソリューションから成るOSS(オープンソースソフトウェア)で、プロジェクト管理ツールの老舗であるRedmineをベースに開発されています。
SHERPA SUITEは主に3つのツールから成ります。
システム運用管理では大量にアラートが発生しますが、これらを自動で分析・振り分けし、「チケット」として自動登録できます。
適切な担当者に連絡を取り、インシデントを適切に処理したら再びすべてを記録します。
ITIL(Information Technology Infrastructure Library)準拠の管理システムに取り込むことで業務改善にもつなげることができるソリューションが、SHERPA SUITEです。
このSHERPA SUITEは、チケットを活用することで「問合せ管理機能」にも対応。
オプションで「自動電話通知」も使えるようになっており、これらを統一されたインターフェースで操作できるのが特徴です。
ちなみにSHERPA SUITEの提供方式はオンプレミスなので、サーバに障害が起きても問題なく動作します。
SHERPA SUITEはリーズナブルな価格で導入できるOSSソリューションでありながら、自動化・可視化による作業効率化でコア業務に対する集中率を上げることができます。
さらには、多彩なシステムを一括管理可能なため、オペレーター育成の労力が最小限で済むなど、“お値段以上”のサービスとなっています。
Jira SoftwareへのSHERPA SUITE活用例
SHERPA SUITEは運用管理ツールであり、Jira Softwareは開発のためのツールで、本質的には別物ですが、SHERPA SUITEの「コマンドランナー」機能を使うと、業務に影響することなく両者を連携させることもできます。
具体的には、運用者が開発者にエスカレーションするとき、開発者が運用者にフィードバックするときに、コマンドランナーが機能するようにします。
コマンドランナーはSHERPA-SMの機能の1つで、ステータスの更新に合わせてコマンドを起動します。例えば、以下のような運用が考えられます。
- Jira連携ステータスになったら、チケットの情報から連携したいカスタムフィールドをJiraに記入するようコマンドを設定する
- SHERPA-SM側のチケット番号や問い合わせ番号もJira側に連携するように設定しておく
- フィードバックのときは、チケット番号さえきちんと入力すれば、SHERPA-SM側で同一のチケット情報として管理できる(SHERPA-SMでは独自のIDをチケットに割り当てるので、担当者が替わっても素早く案件の履歴に到達することが可能)
コマンドランナーを利用すれば、開発者も運用者も最小限の手間で情報を共有することが可能になります。
まとめ
Jira Softwareを使っている方の中には「使いにくい」といった声もありますが、「SHERPA SUITE」のようなツールを併用することで、使いやすく、また、より業務の効率化を目指すことができます。
課題管理ツールを使っている方、また、これから導入を考えている方はぜひ参考にしてください。